騙し、騙され、愛の渦
嫌いになって出ていく訳じゃないよ。


本当に大好きだったんだよ。


大好きだから、貴方に分かって欲しかった…ただ、それだけ だった。


涙は止めどなく溢れるけれど、貴方から一度離れてみようと思うの。


もう、決めた事だから。


バス停に着くまでには、何とか堪えて涙をぬぐった。


バスに乗るとボストンバッグを抱えて、深く深く溜め息を ついた。


降りる時にもたつかないように、小銭があるか確認しよう として、バッグを開けたら…


いかがわしい名刺が見えた。


そうだ、電話してやろうと思って持って来たんだった。


名刺の裏には、

【今度は外で会いましょう!!チューくらいさせてよねっ!!

ルリコ】

と乱雑に書かれた下に携帯の電話番号。


名刺の表にはキャバクラっぽい店名とルリコという名前。


チューくらいって何なの?

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