騙し、騙され、愛の渦
「綺麗なダイヤの指輪…」


箱をあけてみると、薬指にピッタリな、ダイヤがキラキラ と輝く指輪だった。


私は嬉しくて、嬉しくて、また涙が溢れてきた。


翔太、こんなところに隠しておいたんだ。


見つからないように、…ではなく、わざと見つかるようにか な?


ピリリリ…


携帯の着信が鳴り出す。


慌てて、携帯を手にとると翔太だった。


「迎えに来たから帰るぞ」


「うんっ」


無愛想な声で言い放す翔太に、弾むような声で返事をし た。


私は玄関を出て、翔太に飛び付く。


「ありがとう、ね」


薬指の指輪を見つけたからね、と太陽にかざす。


「機嫌直ったのかよ?」


「機嫌?直った、直ったよ。」


指輪で騙されちゃうなんて単純かもしれないけれど、翔太 が私の事を考えてくれてたからいいの。


それにね、迎えに来てくれた。


< 9 / 10 >

この作品をシェア

pagetop