「生きていてよかった!」、そんな夜
「うちの会社、後1ヶ月したら閉鎖されちゃうんだ。今から仕事探さなきゃ」
とても親しい友人からそんなメールが届いたのは、11月の半ばを過ぎたころだった。
純粋に驚いた。驚くしかなかった。私はすぐその友人に電話をかけた。
「はーっ?まじで?」
「ん、うん」
「どうすんのよ?」
「明日ハローワークに行ってくる。まだ1ヶ月あるし、会社側も少しぐらいは斡旋とかしてもらえるかもしれないし」
「してくれなきゃ困るでしょう。ねえ、本当にだいじょうぶなのーっ?」
まるで自分のことのようにあせる私に対して、友人は落ち着いた声で言う。
「まあ、先のことばかり考えていてもよけい不安になるだけだから、とりあえず今はできることからやっていくよ」
夜も遅い時間だったので一応この辺りで電話を切った。
友人はもちろんそうだろうが、私も納得が行かない。
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