ノータイトルストーリー
Case:覚_phase07
妻が夕飯の準備をしている間、
私は色々な気がかり事を考えていた…
しかし、疲れた…体がまるで
何がしかの金属で出来ているのではないかと疑うほど重い。
その重みで体は座り込んでいたソファーに沈み込んで行き。
床を突き破り地面へとめり込んでいく。
まるでどこかの国が開発した地下施設の
破壊を目的とした兵器で確か『GBU-28』
通称『バンカーバスター』とか『ディープスロート』
などと呼ばれいるらしい…
そんなことはどうでも良いが…
どうやら、私は上着を脱いでネクタイと
ベルトを緩めた時には前述の兵器になっていたようだ。
そして某国の地下施設の破壊を命ぜられた
パイロットの操る『F-15爆撃機』から発射された。
正確には投下された、空気を切り裂く『ヒュォォ…』
という溜め息という名の音を立てて。
そして、私はきっと目標地点に作戦通りに
着弾した刹那に、ソファーをいとも簡単に突き抜け、
更に地面を突き破り、体は沈み落ち、突き進んでいく下へ下へと…
そう考えると体が金属のようだと思ったことなどにも全てに合点がいく。
沈みきったところで、想定外のことが起こった。
悪の枢軸の保有する地下施設を破壊することはなかったのだ。
そして、突然、目の前に幾千もの星々が瞬き輝いて見えてる。
暫くして、私は…
「あぁ…私の目は閉じていて、瞼の裏を見ているのだ」
と爆発し地下施設を破壊する代わりに、そう気が付いた。
夕飯の支度をソファーの向こうの背中越しに
台所に立って鼻歌混じりに、包丁と自慢の腕を振り
「トントンッ!トントンッ!」小気味良いリズムと
料理の具材を刻んでいる妻には少し悪いが、
このまま少し眠ってしまおう…
そこでプッツリと意識の糸は切れた。