ノータイトルストーリー
望みは全て叶えているのだから…

世界の平和を望んだジョン・レノンはこんな『想像力』を持った『俺』見たらどんな顔をするだろうか?

自由と思想に取り憑かれたチェ・ゲバラがこんな小さな『革命』を起こした『俺』みたらなんと言うか?

ジョン・レノンのようにヒッピーでもないし、チェ・ゲバラのように思想もない。

強いていうなれば、二人を足して2で割ったような存在だと自負している。

ジョンの『想像力』とゲバラの『革命中毒』を足して2で割ると『自己中心的かつ暴力的で狡猾な薬物中毒者』それが正に『俺』である。

この歪んだ世界が生み出した、偉大なるクズ人間だ。

壁には無数のウジ虫が蠢いている。

ウジ虫達が体を這い上がってくる。

部屋の隅には良く顔の見えない男が立っている。

よく見るとその男は自分に似ているようだが、目玉がくり貫かれているように目の在るべき部分が深い深い闇になっている。

覗き込んだら飲み込まれてしまうような感じがして、背中が冷たくなりブルッと身震いをした。

ふと天井を見上げるとの無数にある木目がぐるぐると回転し始めた。

その中渦の中から大きな目玉ドロっと落ちてくる。

ボタボタとゴミに埋もれた部屋中に落ちいている目玉はこちらを刺すように睨みつけている。

また、薬が切れてきたようだ…

気が狂いそうになる光景を前にし、頭を掻きむしり、纏わりつくウジ虫と視線を振り払うべく、白い結晶の入った袋を探す。

そいつをゴミの中から見つけ出し、アルミホイルの上にサラサラと落とし炙ると、体はゴミの中に沈み、宇宙に浮かんだ。

風の向くままに進んでいたはずの『船』いつの間にか霧に包まれ、先の見えない淀んだ流れに引き込まれている。

『風を読み違えたのか?』はたまた『船員が勝手な操作をしたのだろうか?』疑い始めればキリがない。

それよりもまずは瞳を凝らし活路を見いだすことが先決だ。

そして、全ての責任は管理を過った私にもあるの…

どんなに先の見えない中であろうとも、瞳を凝らし光を探し当てることが出来れば方向修正は出来るのだ。

その努力さえ惜しまなければの話ではあるが『明けない夜はない』が『暮れない昼もない』のだ。

一言だけ言わせてもらうとすれば『過信はするな、しかし自分を信じろ』

表と裏は2つで一つなのだから。

済まないが、今は一刻も早く今はたばこに火を付け、操舵室へと行かせてもらいたい。

多く語る余裕もゆっくりと構える余裕もない。

もし仮に生きて港に辿り着けたのなら、その時は、葡萄酒で乾杯し存分に語り明かそうではないか?
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