ノータイトルストーリー
Case:覚_phase03
会議が始まって暫くすると
会議室の扉が開き、
しっとりと頭を濡らした佐々木が
「すんません、遅くなりました」とバツが悪そうに入ってきた…
議事を進行していた課長の吉岡は一瞬話を止め、
一瞥くれるとまた話を続けた、
あれはそうとう頭に来ている様子だ。
丁度、私の隣の席が空いていたので、
佐々木はそそくさと席について、
溜め息をついた、無理もない会議が終了し次第、
吉岡課長の執拗な尋問とお説教が確定したようなものだからだ。
佐々木は私に…
「また、アレですかね…?」
「あぁ、あの感じだとアレだな…」
「うへ」と舌を出して、佐々木は腹を括った。
吉岡課長は、事あるごとに執拗に相手のミスを責め立て、
それに加えて仕事に関係のない気に入らないことを部下にぶちまける、
最近はなかなかミスをする社員がいなかったので、
相当溜め込んでいるはずだ。
周りからは、粘着質で執念深く、
顔立ちも爬虫類のようなので
『ヘビ岡』なんてかあだ名まで
付けられているのを本人は知る由もなかった(笑)
会議が終了すると案の定「ヘビ岡」
いや吉岡は、佐々木のもとにやって来て
後で自分の席まで来るように冷たく言い放ち、
その場を後にしていった。