涙ペットボトル
「な、なんもないよなー?あかりっ!」
「う、うん!そーだよねー」
ギクシャクしながら話すあたしたちに
怪しいとつぶやくかのんちゃん。
その時、チャイムがなったので
ほっとした。
───────。
「あかりっ!次移動教室だよ。」
かのんちゃんが叫ぶ。
「まってまって!今行く!」
あたしは、急いで教科書を持って教室を出た。
かのんちゃんと廊下を歩いていると、
前から奏太さんが歩いていた。
奏太さんは、あたしを見ると
にこっとして
「水城ちゃんおはよー」
と言った。
返す言葉が見つからなかったので
なんとなくあたしは、
「おはよーごさいます」
と返しておいた。
はぁ。なんかどうすればいいかよく
わかんないよ。
奏太さんって何者?
ま、いっか。
その時、横を通り過ぎていった奏太さんが、クスッと笑っているのに
気づかなかった──…………。