涙ペットボトル




「それは、ないよ。」


ぼそっとヒロトくんが言い放った。



「え…?」



「事情話すけど、優太は、走って
部活に行っていたらしい。

んで、その帰りに信号無視した
大型トラックが優太をひいたらしい。


すぐにまわりの人が救急車よんで
搬送。そのときには、気絶してた。

けっこうひどい傷らしいし、
死ぬかもしれないってなってたよ」



死ぬって….………。



優太くんがいなくなるなんて
信じたくなかった。


だから無事なことを祈った。



「お母さん、優兄ほんとに大丈夫?」


「大丈夫、大丈夫。」


後ろの長いすにすわってみえるのは、


「優太くんのご家族さん?」


「はい、あかり、ちゃんだよね?」


「え、なんで知って…」


「なんでって、優太からよく聞いていたよー」



笑顔でお母さんが言った。


優太くん、あたしの話してくれるんだ。



「ビーーー」


突然、鳴ったのは、優太くんが入っていた緊急手術室だった。



「終わった?!終わったの?」


「あぁ、そうみたいだな」


「ゆ、優太くんは?」


そのとき、


ガチャン____………。


ベッドの上にいたのは、


「….…っ。」



優太くんからは、何本も線がつながっていた。


顔には、頬に切り傷。


頭は包帯で巻かれていた。



すぐさま、病室に運ばれた。

ナースセンターに一番近い病室だ。



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