涙ペットボトル




「しばらく様子を見ましょう。
お母様は、今後のことについて
お話があるので、こちらに」


そう先生が言うと、優太くんの
お母さんは、先生と個室に入っていった。




妹さんと私たちと優太くんだけになった
病室。


「優太…目ぇ覚ますかな?」


「ちょ、ヒロくん。覚ますに決まってるじゃん」


「んなのわかんないだろ?」


「そりゃあ、そうだけど…」


かのんちゃんとヒロトくんが
話してる間、あたしは妹さんと
一緒に、優太くんを見ていた。



「なんてお名前?」

あたしは、妹さんに聞いた。


「優奈です。」


「そっか。お兄ちゃん心配だね」


「うん。だって、あたし、
優兄ぃ、元気でニコニコしながら
手術室出てくると思ってた…から。


こっ…こんっな、風に、なってると、は

思ってなかっ…たよぉぉぉ…」


優奈ちゃんは、優太くんの顔のそばで
ひくひく泣いた。



「優奈ちゃん。お兄ちゃんが
いなくなっちゃうと思う?」


「…え?」



「あたしは、優奈ちゃんよりは、
優太くんといる時間は短いけど

優太くん、いなくならないと思わない?」



「なんで、あ、あかりちゃんは
そう、言い切れるの?」



うん。


なんでだろうね。


「優太くんが今、がんばっているから

応援して、信じたいだけかな?」



ただの自分や優奈ちゃんへの気休めかもね。



そうしないと、心が潰れてしまいそうで










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