涙ペットボトル
大好きだけど、【あかりside】
『ガコンッ!』
「はい。そこの自販機で買ったから
おちついて飲みなよ」
かのんちゃんが自販機のコーンスープを
差し出してくれた。
「ん、ありがと」
コーンスープは、温かかった。
「どうすればいいんだろうね」
かのんちゃんが、あたしの頭を
ポンポンとたたいた。
頭が
混乱していて、自分でも何が何だか
分からない。
優太くんは、
中度の記憶障害だった。
物の名前とかは、分かるけど、
人物、出身地、そして自分が誰なのかも
分からなくなっていた。
今、医師から症状を聞いている。
優太くんは、記憶を失った。
あたしとの記憶も__………。
全部、全部、全部。
今、生きてる優太くんは、
あたしと何の関わりもない。
冷たい目が
あたしを苦しめた。