涙ペットボトル



「はぁ、はぁ、はぁ」


目の前は、ナースセンターに一番近い病室。


「ふぅ……」


息を整えた。


『コンコンッ』


「何?」


前より少し低い声があたしの耳に届いた。


「失礼します」


『ガラッ』


スライド式のドアを開けると


ぼーっとしながら空を見ていた君。


「おはよう」


笑顔で話しかけた。


「うっとうしい。さっきから
うざいくらい知らない女子がくるん
だけど。あんたもその一人?」


こっちに振り向く。


冷たい目であたしを見つめた。



もう以前のあたしではないんだ。



「違うよ。君の友達」



「………は?」



「ねぇ…自己紹介していい?」



「は?勝手にすれば?」



「あはっ!じゃあ勝手にしよっかな」


両手を後ろでくみ、まっすぐに
君を見て言った。


「高校1年生の水城 あかりです!

趣味は、寝ること。

特技は、ないんだこれが…泣

好きな食べ物は、みかんゼリー。

運動オンチだし、取り柄ないけど




これからよろしく!



岡田くん!!」












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