Special Edition
6月上旬―――――。
出張先のロサンゼルスから戻り、
いつもと変わらぬ日常を過ごしている。
いや、違うか。
GWに香港へ行った際に
杏花に誕生日を祝って貰ったのだが、
実は俺もまた、
杏花と同じような事をしている。
―――――そう、
今月下旬にある『杏花の誕生日』
女なら誰でも喜びそうなプレゼント、
“アクセサリー”や“ブランド品”は、
杏花にとっては何の意味も持たない。
同じ金額を出すなら、
旅行にでも連れて行った方が何倍も喜ばれる。
そんな事もあり、
俺は3か月も前からアレコレと悩みあぐね
彼女の誕生日の為に激務の中、
着々と準備を進めて来た。
―――――コンコンッ
「はい」
カチャッ―――――
「失礼します」
ダークグレーの細身のスーツを
ビシッと着こなした沢田が姿を現した。