Special Edition
室内クリーニングが完了し、
内装工事が始まったばかり。
機材の搬入もまだこれから。
さて、どんな仕上がり具合になるのやら。
杏花の驚く顔が目に浮かぶな。
「社長、本日はこの後如何されますか?」
「ん……本宅へ報告しに行かないと…」
「左様にございますか。では、社に車を取って参ります」
「ん、悪いな」
「いえ」
沢田は軽く会釈し、その場を後にした。
俺はその後もデザイナー・鷹見と
店内の内装、機材の最終確認など
詳細にわたって話し合い、
沢田が到着したのを機に
一条本宅へと向かった。
今回のこのサプライズ。
俺1人の力だけではどうにもならず、
結局、会長夫妻の力を借りる事に。
まだまだ会長の足元にも及ばない俺。
一条コーポレーションの社長に就任し、早5年。
会長の指示の下、
最近漸く『一条』という企業を
理解出来るようになって来た。
それでもまだまだ半人前だが。