Special Edition
さて、そろそろ時間か?
俺は腕時計をチラ見して、時間を確認。
「杏花」
「ん?」
「そろそろ風も冷たくなって来たし、東京に戻るぞ?」
「………うん」
まだ楽しみ足りないのか、
杏花はしょぼんと肩を落とし、
浮かない顔で腰を上げる。
俺はそんな彼女に
「最高の場所で極上の料理を用意してるから」
「……えぇっ?!!」
驚きながらも複雑な表情を浮かべた。
フッ、どうせまた『超高級レストラン』でも
想像してんだろうな……杏花は。
俺は彼女を安心させようと、
ゆっくり彼女に近づき、
彼女の肩に手を掛けて
耳元で優しく囁き掛ける。
「大丈夫だ」
「え?」
「服の心配でもしてるんだろ?」
「ッ?!」
俺の考えはビンゴのようだ。
目をまん丸くして、硬直した。
ホント、分かりやすいヤツ。