Special Edition


さて、そろそろ時間か?

俺は腕時計をチラ見して、時間を確認。


「杏花」

「ん?」

「そろそろ風も冷たくなって来たし、東京に戻るぞ?」

「………うん」


まだ楽しみ足りないのか、

杏花はしょぼんと肩を落とし、

浮かない顔で腰を上げる。


俺はそんな彼女に


「最高の場所で極上の料理を用意してるから」

「……えぇっ?!!」


驚きながらも複雑な表情を浮かべた。


フッ、どうせまた『超高級レストラン』でも

想像してんだろうな……杏花は。


俺は彼女を安心させようと、

ゆっくり彼女に近づき、

彼女の肩に手を掛けて

耳元で優しく囁き掛ける。


「大丈夫だ」

「え?」

「服の心配でもしてるんだろ?」

「ッ?!」


俺の考えはビンゴのようだ。

目をまん丸くして、硬直した。


ホント、分かりやすいヤツ。


< 141 / 477 >

この作品をシェア

pagetop