Special Edition
空返事をする母親。
何故か、負傷した足で混み合う会場に来るという。
家でじっとしてればいいものを…。
「じゃあ、俺そろそろ行くよ」
スッと立ち上がった、その時。
「あっ、そうだ!!ゆのちゃん、美人だから凄い人気だったぞ?うちの嫁だと、父さん鼻が高かったよ」
「はっ?えっ、何?!ゆのが凄い人気って……もしかして、ゆの、七夕祭りの会場にいんのッ?!」
俺は思わず、声を荒げて……。
「あっ……あぁ。母さんの代わりに出て貰ってるが…」
親父の言葉で、
はまらなかったパズルがパチッと埋まった。
鋭い視線を母親に向けると、
気まずそうに目を瞑り黙り込んだ。
「チッ!!だから黙ってたのかよ!!ったく!!」
「隼斗、今回ばかりは許してやってくれ……な?」
親父の言い分も分からないでも無い。
怪我をして、イベントには参加は無理だし。
けど、だからって……。
10代で……新婚の……ゆのを……。