Special Edition
俺は深呼吸し、
「行って来る」
「あぁ、頼むな」
七夕祭りの会場へと、自宅を後にした。
母親の代わりに、
七夕祭りに参加しているゆの。
昼過ぎまで仕事をしていたとは言え、
何故、俺だけが知らないんだ?
母さんがワザと隠したとしか思えない。
それに、“母さんの代わり”って……。
ハンドルを握る手に力が入る。
不安で気がおかしくなりそうなのをグッと堪え、
混雑している会場へと続く道を
関係者パスポートでするりと通過。
そして、専用駐車場へと急いだ。
駐車場へと到着した俺は、
車を降りて……深呼吸。
手慣れた所作で着物の着崩れを直し、
ゆのがいる会場へと歩み出した。
都内で行われている『七夕フェスタ』は、
テレビで放映されるほど有名で
沢山のタレントや著名人が訪れる。