Special Edition
藤堂家は地元という事もあり、
『香心流』としては勿論、
市の商工会や婦人会など
昔から色々な形で参加している。
そして、その婦人会に
母親の代わりにゆのが……。
俺は『家元』として凛とした姿で歩きながら
内心は全身に張り巡らされたレーダーで
大勢の人の中、愛妻の姿を探し求めた。
七夕フェスタの会場には
色とりどりの浴衣姿の女性が…。
会場に和服姿の人が多いからといって
俺がその中に溶け込んでいるワケじゃない。
なんたって俺の恰好は袴姿だから。
186㎝の長身の男が人混みの中、
袴姿で闊歩すれば、自然と目立つ。
そんな中、俺はさらにワザとらしく笑顔を振りまいて。
『キャア~~かっこいい~~』
『何?!あの人!!凄いイケメ~~ン!!』
必然的に若い女性が集まる中、
俺は愛妻の姿を探し続けた。