Special Edition


藤堂家は地元という事もあり、

『香心流』としては勿論、

市の商工会や婦人会など

昔から色々な形で参加している。


そして、その婦人会に

母親の代わりにゆのが……。


俺は『家元』として凛とした姿で歩きながら

内心は全身に張り巡らされたレーダーで

大勢の人の中、愛妻の姿を探し求めた。



七夕フェスタの会場には

色とりどりの浴衣姿の女性が…。


会場に和服姿の人が多いからといって

俺がその中に溶け込んでいるワケじゃない。

なんたって俺の恰好は袴姿だから。


186㎝の長身の男が人混みの中、

袴姿で闊歩すれば、自然と目立つ。


そんな中、俺はさらにワザとらしく笑顔を振りまいて。


『キャア~~かっこいい~~』

『何?!あの人!!凄いイケメ~~ン!!』


必然的に若い女性が集まる中、

俺は愛妻の姿を探し続けた。


< 166 / 477 >

この作品をシェア

pagetop