Special Edition


見慣れた婦人会のおばさん達が

お揃いの衣装でステージへと上がる準備をしていた。

俺は思わず、そのうちの1人に声を掛けた。


「あのっ!!」

「んッ?あら、藤堂さんとこの…」

「今回は母がご迷惑をお掛けし、申し訳ありません」

「仕方ないわよ…捻挫ですもの。少しは良くなったかしら?」

「あっ、はい。お陰様で」


婦人会は毎年恒例の『舞殺陣舞踊』を披露する。

巫女装束のような千早を身に纏い、

緋色袴を履いて……。

ーーーーー年甲斐もなく。


さらにメインで舞う人は、

前天冠(まえてんがん)なる冠をつけ、

薙刀のような長い木剣を振るい、

邪鬼を祓うように殺陣による舞を。

その他の人は神楽鈴などで奉納の音色を。


昔から人々の安全と豊作を願う舞。

神事ごとでなく、

古くから地元に根付いた伝統舞踊。


それを婦人会の人々が毎年七夕の季節に舞うのである。


ーーーーーいつかは、ゆのも…。



そんな中、俺はふと辺りを見回し異変に気付く。



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