Special Edition


花火が始まるからといって、

地ビールの無料配布が終わる訳ではない。


フェスタ会場から少し離れた川の河川敷で

毎年恒例に花火は打ち上がる。


この場所からも見えなくは無いが、

大きな山車が邪魔して見えにくいのは確か。


だから、河川敷へ移動する人は多く

これからの時間、ここは運営スタッフ共々

イベントを盛り上げた俺らが

ゆっくりと寛ぐ場所となるワケで…。



「あの、まだお仕事残ってますよねぇ?」


ゆのは必死に抵抗しながら

20代前半と思われるスタッフに助けを求めた。


けれど、所詮、雇われのスタッフなのだろう。

自分より遥かに年上の、しかも…

がたいのいい職人気質の輩相手に

無碍に断る事も出来ず、困惑の表情。


俺はそれを察して、すぐさま床几台から下りた。


至ってクールな表情で、

手慣れた所作で着崩れを直し、

茶席会場の担当スタッフのもとへ。


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