Special Edition


「ゆのッ!!」

「ッ?!!はっ………あなたッ!!」


俺は人目も気にせず、愛妻の名を。

すると、ゆのは『隼斗さん』では無く、

『あなた』……と。


恐らく、男連中を牽制しての事だろう。

機転を利かせたゆのは、

男共が俺に視線を向けた一瞬に

掴まれている腕を解き、

俺のもとへ一目散に駆けて来た。



―――――――ボスッ


いつもと変わらぬ抱き心地。

骨ばった骨格に不釣り合いの豊かな胸。


俺は無意識にニヤけてしまう。


すると、


「隼斗さん」


余程、嫌だったのだろう。

俺にしがみ付くゆの。


大勢の人の視線が突き刺さる。


俺はワントーン低くして、

それでいて穏やかな表情で。


あくまでも『家元』としての振る舞いで。


そして、ゆのを背後に隠し、

再び手慣れた所作で着崩れを直して。


そして、


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