Special Edition
―――――分かっている。
ゆのが悪くない事くらい。
恐らく、母さんが無理やり頼んだんだろう。
藤堂家の人間として、
止むにを得ない事情だったのだろうと。
けれど、心の狭い俺は
唯一の『男』としての優越感と、
ゆのから『愛されている』という
心の安心感が揺るぎないハズが、
今日に限らず、何故か、いつも不安で堪らない。
自信?
信頼??
セキュア??
―――――そんなモノは、
『婚姻届』という紙切れ1枚じゃ
簡単に埋める事は出来ず、
24時間365日、
俺の隣りにいないと心もとない。
恋人期間が短かったせいか?
こんなにも、
俺の心を揺さぶる女はゆのが初めてだ。
俺は複雑な心境をグッと抑え込んで、
市内を見晴らす丘陵へと。
薄暗い駐車場に車を停め、
ゆのと共に車から降りると……。