Special Edition


―――――ドーンッ……ドーンッ……


遠くで打ち上がる花火の音。

丘陵に反響して、身体の芯に響いている。



「うわぁ~~凄~~い!!」


大興奮のゆの。

両手を合わせ、ピョンピョンと跳ねて。


「おいっ、危なッ!!」

「キャッ!!」


浴衣に下駄姿のゆのは、

足場が悪い事をすっかり忘れていたようで、

ピョンと跳ね、着地した拍子に

足が窪みに取られ、体勢を崩した。


「ケガして無いか?」

「………ご、ごめんなさい」

「ケガしてなきゃ、別にいい」


高台の隅は、

見晴らしのベストスポットなのだが、

1歩足を滑らせれば、大怪我になるような所。


しかも、外灯はあるものの薄暗く、

タダでさえ、歩き辛い下駄なのに。


幸いにも俺がゆのの華奢な身体を支え

大事に至らずに済んだが……。


「気をつけろ?」

「………はい」


すっかりしおらしくなってしまったゆの。

花火では無く、足下ばかり見ている。


そんな彼女に俺は……。


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