Special Edition
「毎日、毎日、何度も何度も……斗賀に母乳を与えてたらね?」
「………ん」
「…………当たり前なんだけど、……色が………濃くなるでしょ?」
「色って?…………どこの?」
「どこって、決まってるじゃない………母乳をくれる……ところ」
「……………ッ?!」
「だからね、早苗さんに相談したの」
「………」
「そしたら、稽古で出来た色素沈着を薄くするクリームがあるって言うから……私も試してみようかと思って……」
………なるほどな。
だから、あれ程までに拒否られたのか、俺。
杏花は自分の身体の変化を気にして、
俺に嫌われると思ってたって訳か。
フッ、何だよ、そういう事かよ。
世の中、母乳を与えて無くたって黒ずんでる奴は五万といるってのに。
本当に杏花は乙女だよな。
あまりに可愛らしくて、俺の方がおかしくなりそうだ。
しかも、そんな話をあのクールな本田に話していたかと思うと笑える。
きっと今頃、俺らの事を聡に話してるに違いない。
俺は身体中から漏れ出すほど安堵して、
杏花を再びきつく抱きしめた。