Special Edition
「えっ?!あ……周さんっ」
俺に気付いた蘭。
人参を手にして、目を見開いている。
「どうしたんですか?………お店は?」
「抜けて来た」
「だ、大丈夫……なん…ですか?」
「あぁ」
驚く彼女にゆっくりと近づき、ふわりと腕の中に閉じ込めた。
そんな俺の腕の中で硬直する蘭。
状況が呑み込めないでいる。
「なぁ」
「………はい?」
「さっき、親父と何、内緒話してたんだよ」
「別に内緒話なんてしてませんよ」
「耳打ちするみたいにヒソヒソ話してたじゃん」
「だって……」
「………だって?だって、何だよ」
真っ直ぐ射竦める俺の視線に耐え切れなくなった彼女は、視線を泳がせぼそりと呟いた。
「あっ…………周さんの、………好物を作ってやってくれって……」
「フッ………。親父、やる事が古いっての」
「でも……、私は………周さんの好きなモノを作ってあげたいですっ」
「ッ?!」
蘭は照れ隠しに俺に抱きついて来た。
そんな彼女の顎を指でクイッと持ち上げ、ゆっくりと顔を近づけると。