Special Edition
俺も蘭も恋愛初心者。
まぁ、俺はそれなりに遊んで来たからそこそこ経験は積んでるけど。
蘭は噂とは真逆で真っ白な子だ。
しかも、去年のクリスマスの日。
お互いの気持ちを確かめ合って、付き合う事になったはいいが……。
騙すような不意打ちのキスがお気に召さなかったようで。
それ以来、鉄壁のガードが俺を悩ませている。
バイト上がりに親父の車を借りて、蘭を自宅へ送り届ける時だって。
彼女は完全防備とも言えるマスク姿で俺を牽制している。
普段から周りに家族がいるのもあって、中々2人きりになれない。
強引にキスする事は簡単だし、その気にさせるのもそう難しくは無い。
だがそれでは、俺のプライドが許さないんだ。
無理やりキスを迫るのではなく、彼女に心を開いて貰いたいから。
無論、俺にも限界がある。
今まで散々遊んで来たんだから、そろそろ限界の限界だと警告音が鳴り響いてるんだけど。
それでも尚、彼女の気持ちを優先したい。
彼女は“遊び”ではなく、“本命”なのだから。