Special Edition


久しぶりのキスに酔いしれ、危うく理性を手放しそうになってしまった。


敢えて彼女の背中では無く、椅子の背凭れに手を掛けていた筈が、いつのまにか彼女の腰に辿り着いていた。


危ないアブナイ。

あと少しで暴走するところだった。


苦笑気味に蘭との距離を取ると、思わぬ所に重力を感じた。

その違和感のある場所へと視線を向けると、俺の上着の袖を掴む蘭。


まるで、キスを止めて欲しくないというような行動に、一瞬思考が停止した。


手元に落とした視線をゆっくり持ち上げると、強請るような煽るような……何とも言えない瞳をした彼女が。


「そろそろ帰るか」


これが俺に出来る最大限の優しさだ。

本気だからこそ、むやみに手を出したくないし、触れ合うだけのキスでも満足できる。


ちょっと前の俺じゃあ、到底無理だっただろうがな。


俺は柔らかい笑みを浮かべて、彼女の頭をポンと一撫ですると。

スッと立ち上がった蘭が、俺の前に立ちはだかった。



「ん?………どうした?」


ベンチに腰かけたままの俺を見下ろす形で見つめる蘭。

そんな彼女の手をそっと握ると、


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