Special Edition


俺は膝の上に彼女を座らせ、彼女の腰を優しく抱き寄せた。


グンと近づいたお互いの身体。

蘭の吐息が頬にかかり、今にも唇が触れそうな距離に左胸が急に暴れ出す。


風に靡く蘭の長い髪が俺の顔に掛かり、フッと目元を細めると。

細くしなやかな指先が、長い髪を掻き上げるみたいに後ろ首に回り、そしてそのまま右サイドへと流された。


そんな仕草1つでも見惚れてしまう。

それ程に綺麗で、色気がある。


右サイドへ流された髪をそっと手で押さえながら微笑む蘭に、俺の理性も限界に達した。


腰に回した腕に少し力を入れ引き寄せると、抵抗すること無く、俺に凭れ掛かる蘭。

それを合図に再び彼女の唇にキスをした。





ここが屋外だという事も忘れ。

疎らではあるが、人気もあるという事も無視して。


頭上で咲き誇る桜よりも。

少し離れた所で存在感を成す木蓮よりも。


俺は『蘭』という芽吹いたばかりの愛らしい花に首ったけで。


俺が毎日、水の代りに愛情を注ごうと改めて思った。



他の誰でもなく、俺だけの為に。

―――――愛らしい笑顔を咲かせてな?



~FIN~


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