Special Edition
4月上旬。
すっかり暖かくなった春風に誘われ、心が浮き立つそんな日曜日の午後。
「小町~、これで全部か~?」
「ん~、ちょっと待ってねぇ~」
玄関口に用意したバスケットと大きなトートバッグを確認し、戸閉の確認をしている私に声を掛けてくる愛しの旦那様・大和。
結婚して、もうじき1年を迎える。
今日はこれから、美枝子叔母様の自宅兼レストランの敷地の一角をお借りして、お花見をする予定。
大和は半日仕事をして来て、午後から明日丸々1日お休みなの。
先日叔母様から電話があって、桜がちょうど見頃だとか。
遠出をしたり、沢山の人に揉みくちゃにされる事も無く、贅沢に花見が出来るなんて……。
しかも、陽が沈んでからは、更に贅沢な夜景が見れる。
こんな好条件のベストスポットだなんて、他にはない。
敷地は完全私有地になっているから、レストランに来る人以外は当然立ち入り禁止だしね。
まぁ、ご近所さんがたまにいらっしゃったりするらしいんだけど、広大な敷地だから、顔を合わせる事も殆ど無い。
丘陵地の麓、レストランへと向かう道の入口にはゲートがあって、無断で乗り入れられないようになってるの。
だから、安心して贅沢に花見が出来る。
「お待たせ」