Special Edition

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「京夜様、みーなのサイン、必ずゲットして下さいね!」

「来栖 湊のファンだったとは初耳だぞ」


自社店舗の事務所の最奥の応接室に、京夜と希和は開店2時間前からスタンバイしていた。

というのも、来栖 湊の事務所と御影のHPで事前告知していた事もあり、

前日の営業時間終了後から既に予約待ち状態に場所取りしている若者が多く、

その対応に追われているという有り様。

地元警察に要請して、何とか事を得たが、

それでもトラブル回避の為の策は練らねばならない。


来栖 湊の事務所と話をつけ、

急遽、サイン入りの景品を抽選で配るという対応を取ることにした。

その対応の為、30分前入りの予定が、2時間前入りとなったのだ。


年に一度、芸能人に一日総支配人を依頼しているが、

ここ数年は『来栖 湊』にお願いしている。

それは、人気だからという理由だけではない。

芸能人ぶらない、あか抜けた性格の持ち主だからこそ出来る技。

嫌な顔一つせずに、臨機応変の対応力がズバ抜けているから。


「おはようございます」

「おはようございます。今年も宜しくお願い致します」


京夜と希和がいる応接室に、来栖 湊がマネージャーと共にやって来た。


「それと、ご婚約おめでとうございます。これは当社からの気持ちです」

「え?……ありがとうございますっ!凄く嬉しいです!」


京夜から湊に贈られたのは、バカラのペアワイングラス。

しかも、オリジナルのオーダー品だ。

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