Special Edition
―――――チュッ。
そっと触れるだけの可愛いキスを。
杏花は恥ずかしいからなのか、
俺の頬に添える手が少し震えていた。
それに……。
「杏花、暑かったか?」
「へ?」
「手が熱い」
「……うん、少しね?暖房も効いてたから寝汗掻いちゃって、それで起きたの」
「そうか。ごめんな気付かなくて」
「ううん、大丈夫」
「けど、初日の出は車の中から見ような?」
「えっ?」
「風邪ひく」
「だ、大丈夫だって」
「汗掻いたんだろ?」
「もう、治まってるし…」
「ん~でもやっぱダメ」
「何でぇ~?」
「風邪ひいたら困る」
「ヤダぁ~~!!」
プクッと膨れて俺を可愛く睨んでる。
フッ、そんな顔しても無駄だ。
仕事もあるのに風邪を引かせる訳にはいかない。