ノイジー。


周りの女子は茶髪か金髪か、と決まりきっていたのに菅原雨音だけは黒髪を染めなかった。

周りの女子はカラコンだのつけまだのメイクで盛りつけている中、彼女だけは裸眼でマスカラすらしない。

素顔のままなのに顔の造りが綺麗な為、黒髪ロングで清純派で売っている女優に似ていると暫し話題になった。

そう、却って目立っていた。


小さい顔も、静かに主張する大きな瞳も、透き通る白い肌もそれと反して赤い唇も 人を虜にした。

まるで人形みたいな少女だった。
近づきがたいほど美人で、完璧な人間。

彼女にその自覚はない。


「じゃあ君は、パンクは大衆向けじゃないって言うの?」

「そうだよ。それに俺の原動力だからな」

音楽好きな奴は好きだ。パンク好きな奴はもっと好きだ。初めましてだよな、と赤髪はユウと名乗った。


ユウがもし優しいという優なら、ギャップがあって面白いな
と微笑を浮かべた。頬を赤く染めたユウには、何やら誤解されたようだが。


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