愛するが故に・・・
『はじめまして、加奈です。よろしくお願いします』


いつものように挨拶をする。

私は挨拶を済ませると、男の横に座った。


男の顔を見ると、「ああ」と一言いっただけだった。
男はこんな遊びの場にも関わらず、書類を見ていた。

私は、目の前に置かれているお酒で水割りを作りテーブルに置いた。


男はありがとうでもなく、そのグラスを持ちのみ始めた。

グラスが空になると私の前に作れと言わんばかりに差し出した。


『同じものでよろしいですか』


とたずねれば、


「ロック」


の一言。

この人は会話をするということがないのだろうか…

ロックを作り、また、男の前に差し出す。

またも、何も言わず、のむ。
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