極上の愛文

勇者様に弟子入り

今日、勇者様の瞳を覗(のぞき)き込むと、戦中だと分かりました

でも、ただの戦(いくさ)じゃない

勇者様は戦が好きじゃないから

相手に挑発されただけだから


わたしは知っている

勇者様は、人のために傷付いて、人の笑顔ために我身を捧げること

技術向上のために努力を惜しまないこと

わたしは、その広大な背中に魅せられて弟子になりました

周囲の影響で生みだされた邪悪を自分の中に秘めて、自分の体を蝕(むしば)んでいく


わたしはずっと後悔していることがある

あなたが病を治しに行くと告げた姿を見たとき、声をかけられなかったことを･･･

でも、そのとき、わたしに何ができただろう？

こんなちっぽけな弟子に･･･


今だって、何も役に立てていない

だけど、わたしは思う

勇者様･･･　わたしには秘めないでください

黒く染まらないで、あなたの色を守りたい

それに、あなたの周りには、美々しい令嬢がたくさんいます

だから、あなたが幸せになるためにも、弟子には秘めないでぶつけてください

彼女たちとぶつからないために

そして、最前線でバトルを見ている弟子のプライドのために

わたしは、勇者様に苦しみや苛立ちを向けられても、怖くない、変わらない

だって、わたしも同じだから･･･

語り合ったあのとき、分かりました

似ているって

だから、過去の傷も未来の不安も埋(う)め合えるかもしれない


勇者様の本性の優しさと微笑みを、わたしは知っています

どうか負けないで

いいえ、勇者様はすでに勝利しています

好き勝手に振るう権力者よりも、忍耐力の持ち主の方が強いですから


きっと、そのうち、幸せの音も聞こえてくるでしょう

鈴のような小鳥のような可憐な音が、あなたの身に舞い降りてくる

だけど、そのときが来ても、弟子でいさせてくださいね


さぁ、仲間と踊り狂うパーティナイトはいつにします？

Shall　we dance?