青い星〜Blue Star〜
「……………佐々木さん。あれは何でしょう?」
え、と佐々木は総司が指差す方を見た。
「………人ですね。」
「そうですよね。良かった、剣客たるもの節穴ではお話になりませんからね。人が遥か上空から物凄い速さで此方に向かって落ちてきていますね。」
「そうですね………。あんな速さで地面に激突したら言わずもがな即死ですね。」
「………………………。」
「………………………。」
沈黙が二人を包む。
その間にも人は落ちる、落ちる。
「佐々木さん、隊士部屋からありったけの布団を!!」
「御意!」
総司の凛とした声に今まで総司の手荒い稽古にダウンしていた隊士も何事かと道場から出てくる。
「何事ですか!?沖田先生!」
「あれが見えませんか!」
隊士たちは佐々木と同じように空を見上げた。
「人か……」
「そうです!皆さん、急いで布団の用意を!!」
そう言うや否や総司も駆け出す。
あんな上空から落ちたんじゃ隊士の布団だけでは足りないかもしれない。
もっと布団の代わりになりそうなものを……
間に合うか…!?
はっと総司はそこで違和感を感じた。
「速さが落ちている……不可思議な現象だが好都合!あのくらいならば私が受け止められる!!」
不思議なことに人が落ちるスピードが下がっていた。
まるで下から何かに支えられているようにふわふわと落ちている。
総司は目測で落下地点を測った。
おおよその位置を掴むとその場に急行する。
人はもう目前に迫っていた。
総司は腕を目一杯広げる。
そこまでは全て計算通りだった。
だが予想外が一つ起こった。
人は上手く手中に収まった。
だからこそ油断した。
まさか、その直後に黒い箱のようなものが落ちてくるなんて。
人に気をとられ過ぎて気づかなかった。
咄嗟の反応が遅れた総司の顔面に意外に重量のあるそれが直撃した。
鼻血が宙を舞う。
「沖田先生ー!!」
隊士たちの叫び声と共に総司は気を失った。