青い星〜Blue Star〜
お酒は二十歳を過ぎてから
奏の役職は総長に落ち着いた。
総長とは則ち副長助勤をまとめ役である。
何でも、その方が色々動きやすいだろうという土方の采配だ。
あまりに事が上手く進みすぎて逆に心配になる。
耐えかねて奏は土方に訊ねた。
「あの、いいんですか?」
「何が?」
「もし私が本当は壬生浪士組が大嫌いで信用させてから長州に行こうとか目論んでいたら、どうするんです?」
「お前にそんな器用な真似が出来るわけがない。」
認めてくれているのか、貶されているのか、どちらともとれない発言にますます奏は土方の意向が判らなくなった。
「そんな捨てられた仔犬みたいな顔すんなよ。」
一体どんな顔だ、それは。
奏はぺたぺたと自分の顔を触った。
「ぶっ…」
此方に背を向け肩を震わせている総司。
つくづく癪に障る奴だ。
「それに、さっきの自分の台詞を忘れたか?俺が信じたいと思うからこうした。それで裏切られたら俺に責がある。お前が気に病むこたぁない。」
まさか、自分の言葉がブーメランのように返ってくるとは。
平静を装っても嬉しさは包み隠せない。
「何、ニヤニヤしてるんだ?奏。怪しいことこの上ねぇ。」
「だから、デリカシー!!」
奏の叫びが屯所に響いた。