青い星〜Blue Star〜
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「何だ、これは。」
総司は見たこともない料理に興味深そうに眺めている。
他の隊士たちも同じような反応で誰一人手をつけようとしない。
「リゾットだ。」
「りぞっと?」
「まぁ、正確には違うが。本場イタリアのリゾットは米を炒めてから肉や野菜を入れたスープで柔らかめに煮る。言わば西洋風雑炊だ。これは余っていた野菜をぶちこんで炒めて余分な水分飛ばしつつ適当に味付けした。」
「はぁ……」
総司は判ったような判らないような顔をしている。
「騙されたと思って食べてみろ。口に合わなかったら私が責任もって全部食べる。」
「太るぞ。」
「余計なお世話だ。そんなことより早く食え。」
奏に促され総司は恐る恐る口に入れた。
「どうだ?」
「………………………旨い!!」
総司が興奮したように叫ぶ。
それを見た他の隊士たちも次々に食べ始めた。
「何だこれ!旨すぎる!」
「流石姐さん!!」
大反響のリゾットに奏は照れ臭そうに笑った。
「おひたしはどうだ?ちゃんと水をきって胡麻和えにしてみた。」
「これも旨い!奏は料理の才があるな!」
総司の最大級の褒め言葉に奏は嬉しそうに目を細めた。
「今度作り方を教えてくれ。」
リゾットを頬張りながら言う総司はまるで子供のように目を輝かせていた。
「いいけどさ。総司は料理出来るの?」
「九つの時に試衛館に養子入りして、はじめのうちは雑用ばかりだったからな。料理は得意だ。」
「へぇ、意外ね!ならば、次からは二人で作ろうよ!総司に料理教えられるし殺人料理を食べずに済むし一石二鳥だ。」
視界の端に殺人料理と言われ不服そうにしている原田と永倉がうつったが見なかったことにする。
「そいつぁ、名案だな。いいかい?土方さん。」
フラれた土方が慌てたように顔を上げる。
彼もまた奏の料理に夢中になっていたようだ。
「お前らがいいなら好きにしろ。」
副長の許可が下りたことに皆喜ぶ。
美味しい食事が保証されたことは毎日働いている彼らにとっては大きな励みとなる。