青い星〜Blue Star〜
〈Dr.奏の熱血指導②ー衛生ー〉
食事を終えた奏は長い廊下を総司と共に歩いていた。
向かう先は隊士部屋。
壬生浪士時代の屯所はとても狭く役職関係なく皆雑魚寝だった。
女である奏も例外でない。
隊士部屋には奏がこの時代に来たときの持ち物が全てまとまっていた。
近藤から今日丸一日非番にするから必要なものを全て用意することと京の地形に慣れろとのお達しが出た。
その準備のために隊士部屋に向かっている次第である。
「何で俺まで。」
真面目な総司は自分まで非番になったことに不満らしい。
「君は案内役だ。京の地理は碁盤のように複雑らしいからな。頼んだぞ。」
「おめぇ、京に住んでいたんだろ。俺は必要ねぇだろうが。」
「何を言う。150年で随分と町の様子は変わったぞ。判るわけあるまい。」
「偉そうに言うな。」
相変わらず冷たい物言いの総司。
不貞腐れる奏だったが隊士部屋に近づくにつれ強くなる異臭にそれどころではなくなった。
「何だ?この鼻がひん曲がりそうな悪臭は!?」
「悪臭?」
「総司は慣れているからだろ、この臭いに!」
隊士部屋に辿り着いた奏は襖を開けるのが怖い。
悪臭の源はやはりこの隊士部屋だったからだ。
だが、いつまでも恐れ戦いているわけにもいかず意を決して襖を開けた。
途端にソレが奏の鼻を襲う。
あまりに酷い臭いに奏は片膝をついた。
「おい、どうした?」
どうしたもクソもあるか!
奏は涙目になりながらキッと総司を睨みつけた。
「土方さーーん!!!隊士を全員隊士部屋に集合させろ!!!」