青い星〜Blue Star〜
怪訝な顔をする総司だが「これ以上何も聞いてくれるな」という土方の無言の圧力に「そうか。」とだけ返した。
総司の言葉に安心した土方は奏の口を塞いでいた手を外した。
まさか、総司があとで奏にじっくり聞こうと内心人の悪い笑みを浮かべていたことなど知る由もなかった。
「人の口を塞ぐのに慣れているな。ナニをするときにそういうのがお好みか。大層なご趣味だな。」
ここぞとばかりに皮肉をぶちまける奏。
彼女の口達者ぶりには総司はともかく近藤と土方は開いた口が塞がらない。
ぽかんとした顔をしている二人に「全く張り合いがない。土方いじりも飽きたし、そろそろ本題に入りますね。」
いけしゃあしゃあと言う奏に土方は突っかかろうとするが戦歴を考慮し撃沈が目に見えていたため諦めたように溜め息をついた。
「今日、総司とお出掛けしたんですが新しいお友達が出来て、二日後にゆっくりお話しする約束したので許可をもらいにきたんです!」
「それは良いことだな。」
近藤と土方は和む話題にお茶を飲みながら相槌を打つ。
「俺が抜けたときか?」
「そう!私の日用品を揃えるために総司が一旦抜けたでしょ。その時にいらっしゃったお客さんと年も近そうだったから仲良くなって!」
嬉々とする奏に三人は拍子抜けした。
わざわざ源さんに夕餉作り押しつけて話すほどのことか?
何だか嫌な予感がする。
大抵、そういう嫌な予感というのは当たるものである。
「その新しい友人の名前は?」
近藤が訊ねた。
奏はにっこりと笑った。
「高杉晋作と吉田稔麿と桂小五郎ですよ!!」
『ぶーーーーっっ!!!!』
近藤と土方はお茶を盛大に吹き出した。
この事態を予測していた奏は盆を使って器用に避けた。
総司は彼自身も飛び出した名に驚いていた為反応が遅れ、近藤と土方が吹き出したお茶をまともに食らい、その被害は甚大だ。