スクランブル
夜、ジョン君から電話がかかってきた。

「ゆこさん。」

「ジョン君。」

そう言ったまま、少し間があった。

「俺今、釜山なんだ。」

「釜山?ソウルじゃないの?」

「うん。急に。」

「なんでも急なのね。」

「ごめん…」

「それだけ?」

「仕事忙しいんだ。」


なんだかジョン君がとても遠く感じる。

会いたいなんて言った自分が、バカみたいだ。

「今誰かと一緒なの?」

「いや、1人だけど。」

嘘だ。電話ごしだけど人の気配を感じる。

「ゆこさん。少し待ってくれないか?」

「え?日本に戻れるの?」

「まだわからない。でも…」

(ジョーン!)

やっぱり女!?

「また、電話する。」

そう言って、電話は切れた。

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