specialな君。



足を引きずりながら私は大輝くんのとこに行った。


「大輝く…ん」


友達と楽しそうに話してる途中だったから悪いかなーっとか思いつつ話しかけた。


「あ?なに?」

「ごめん!」

「は?」

「私さ、リレーで転けて足捻挫したからペアダンス踊れなくなっちゃった」

「へえ、分かった」


そう言い残すと友達との話しの続きをし始める大輝くん…

それだけ?って言いたかったけど何となく予想できる答えだった。

友達にはあんなに笑顔で話すのにな…





急に切なくなって…
体育祭の途中なのにグラウンドから外れた中庭に行った。





空を見ると今の私の気分を無視するかのように青空。
余計と涙が出てきた…



グラウンドの方から聞こえる「では今からメインイベントのペアダンスを始めます」のアナウンス。

みんなの楽しそうな声が聞こえる。



「私は何やってんだろ…」



転けて出来たかすり傷をこすりながら独り言のように呟いた。





「マジで何してんの?」

突然聞こえた低い声。

「え?」

振り向くと大輝くん…
ヤバッ…泣き顔見られた。

顔を下に向け焦りながら涙を急いで拭いた。

「大輝くん…ペアダンスは?」

「相手いねーし、ダルいし、抜けてきた。」

「…ごめんね?」

「俺は踊りたくなかったしラッキーだけど。」

「そっか…」
苦笑いを浮かべ頷いた。



「お前派手に転けてたよな?」

「え?あ…うん」

見られてたとか恥ずかし…。

「だっせえなって思いながら見てた」

「しかも捻挫しちゃったし…普通に歩けないし…最悪だよね」

「どんくせー奴」

「だよねー」
笑いながら頷いた。




私…何か普通に…大輝くんと話せてる。





ちょっとした進歩かな?

ペアダンス踊れなかったけど…まぁ良いか。(笑)





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