甘い彼×危険なワタシ
手には、自分のカップを持っている。

まだ、湯気を吐く紅茶。

先輩は指先で、ネクタイを緩めた。

そういう、ちょっとした仕草も、絵になるんだよな。
見とれていると、

「ずっと気になってたんだ」

急に、切り出した。

「え?」

あたしは、飲もうとしてたのをやめて、カップを遠ざけた。

先輩はじっと、あたしのことを見ている。
いや、見つめている。

椅子から立ち上がって、

こんなに間近で見るのは初めて。
それくらい、身を寄せてくる。

もう、至近距離だ。

伸ばした手を、あたしの肩に乗せる。
近くで見るほど、端正な顔立ち。

先輩は少し寄り目になるほどそばにいる。
綺麗なつくりの大きな目。
潤んだ瞳。

その目でちらりとあたしの背後を見た。
それから、いつもの甘い声でささやいた。



「君、変なもん憑けてるから、気をつけたほうがいいよ」




先輩の真剣な眼差しを、あたしは、凍りついて見つめ返した。



×××おわり×××



先輩、教えてあげるんなら、祓ってあげて・・・










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