ひだまりの若葉~砂漠の女王~
「覚えて、いませんか?」


 マリは筆を置き、立ち上がりました。


「あなたが私に言った言葉。」


〝また逢いたい〟と、そう言ってくださったのですよ。

 涙があふれないように注意しながら、蛇に向かって微笑みました。


「こんなに役立たずな私のために。

 悩みなんて、どこかへいってしまうようでした。

 言葉にできないくらいに、もう、嬉しくて…。

 なのに、その時、私は気づかなかったんです。

 本当のことは、何も。

 あの言葉の本当の意味。

 そして自分の本当の気持ちに。

 遅すぎますね。もう二度と、言ってはくれないあなたに向かって……」
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