ひだまりの若葉~砂漠の女王~
「かけつけた兵士は、足を踏み入れてはいけないような気がして一瞬ためらった。

 美しすぎて近寄りがたい。完成された絵のようだった。

 年端もいかない少女。それなのに、この神々しさは何だろう?

 砂漠の国のちいさな女王は、それほど穏やかに目を閉じ、横たわっていた。

 ただ、場違いなようにひとすじだけ、涙のあとがある。

 どうやって死んだのかはすぐにわかった。

 少女に寄り添うようにして、一匹の蛇が横たわっていたからだ。」


(毒蛇、だな…)


「少女はきっと自殺だろう。

 しかし、毒蛇はどうして死んだのだろう?

 疑問を抱きつつ、兵士は文机に置かれた遺書のようなものを手にとった。」
< 18 / 21 >

この作品をシェア

pagetop