狐火〜夏休みの恋〜





「ここをまっすぐいけば日夏の住んでる街にでる。」


雨斗が指を指した方向には確かに私が住んでいる街だった。


「雨斗は……いかないの?お家は……?」


日夏がそうきいたとたん雨斗は……


「俺には…無いよ。」


悲しそうな顔をして笑っていたんだ。


無理して笑ってるのが解るくらい。


いけないこと……聞いちゃったかな。不安になった…


「ねえ、雨斗って…『日夏っ!』


この声は……っ!はっとして声の方を向く。


「お母さんっ!」


『馬鹿日夏っ!どこ行ってたの!心配したんだからね…』


お母さんは汗だくで…長時間探し回ったことがすぐわかった…

「御免。お母さん。」


『ほら、行くわよ。』


「あ、う…と?」


後ろを見ると雨斗はいなかった。お母さんが不思議そうな顔をして


『なにしてんの?』


ときいてきたので


「あ、大丈夫。いこっか。」


と返しておいた。


明日また森には行ってお礼をいえばいいや。


なぜか明日が楽しみだ。
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