天使の舞―後編―
キャスパトレイユは、そっと乃莉子の頬を撫でると、自分も乃莉子の隣に腰を下ろした。


「キャスは、急すぎるよ。」


「急なもんか。
俺は、１ヶ月も待ったんだぜ。」


「それは･･･私の気持ちを確かめるための、猶予期間というか･･･。」


「だから、答えは出たんだろ？」


「自分の気持ちは分かったけど、それとこれとは違うというか･･･。」


「どう違うんだ？
俺は乃莉子を愛してる。
乃莉子も俺を愛してる。
･･･だろ？」


「そうだけど･･･違うのよ。
私にもいろいろと、心の準備があるの。」


乃莉子は恥ずかしそうに、キャスパトレイユを見つめる。


そんな乃莉子の仕草に、キャスパトレイユは僅かに首をすくめて、頷いた。


「違うの意味はよく分からないけど、いいよ、分かった。
俺は、乃莉子が側に居てくれるだけで、嬉しいんだ。」


キャスパトレイユは、乃莉子の肩を抱き寄せて、そっと髪の匂いを嗅いだのだった。
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