天使の舞―後編―
『やっぱり乃莉子は、天界の娘とは全然違うんだな。』


キャスパトレイユは、自分の腕の中に居る乃莉子が、愛おしくてならない。


今までは王子という立場のキャスパトレイユに、誰もが従い、異を唱える者など皆無であった。


恋人にした娘達も然り、皆、一様に自分の言葉を受け入れてくれた。


キャスパトレイユが拒んだ事はあっても、拒まれた事など、一度としてない。


娘達は自分が拒んだらどうなるか、過去のキャスパトレイユの恋人だった娘達を見て、学習していた。


そう・・・用済み。
天界の王子の恋人という立場では、いられなくなるのだ。


全てにおいて、キャスパトレイユの要望は確かに、わがまま放題であったかもしれないが、保身のためにそれを許す娘達も娘達であった。


唯一、キャスパトレイユに本音でぶつかってくれたのは、ライラとトルティナくらいである。


かといって、ライラの勝気と、トルティナの臆病は、キャスパトレイユの気に入る所ではなかった。
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