天使の舞―後編―
はたと思い立って、キャスパトレイユは乃莉子を見つめた。


「ところでさ。
乃莉子の心の準備は、いつできるんだ?」


「・・・!もう・・・分かってないじゃない。
それは、整い次第よ。」


「そっか・・・。
じゃあ俺が整えてやるよ。
・・・俺、毎晩迫る事にする。」


「・・・!キャス、デリカシーない!」


ニッと笑ってキャスパトレイユは言う。


「俺だって、必死なんだぜ。
誰かのために、こんなプライド捨てて動き回るの、初めてだ。」


「う・・・。」


「天界の王子にここまで言わせた女は、乃莉子だけだぞ。」


「だって・・・。」


「でもいいよ。そんな乃莉子が好きだから。」


そう言って、キャスパトレイユはぎゅっと乃莉子を抱きしめた。


こんなにも自分を想ってくれるキャスパトレイユに、乃莉子はどう答えていいのか、温かい腕の中で困惑してしまう。


とにもかくにも、これから体験するであろう初の行為の事を思うと、恥ずかしいやら照れくさいやらで、曖昧に逃げた乃莉子なのであった。


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