天使の舞―後編―
不意に後ろの方から、パタパタパタと足音が聞こえてきた。


その、これ見よがしにうるさい音に、何事かと足を止め、振りかえった2人。


そこには、ドレスの裾を思い切りたくし上げ、必死の形相でこちらに向かってくるライラの姿があった。


「お待ちくださいませ!」


キャスパトレイユとシュカを見つけたライラは、翼をも羽ばたかせ、1秒でも早くと、駆け寄って来る。


そして、ひざまづく事も忘れ、キャスパトレイユに叫んだ。


「乃莉子様が、苦しんでおられます!」


「・・・っ!!なんだって!!!」


「一緒においで下さい。」


ライラの衝撃的な言葉を聞いて、キャスパトレイユはシュカを仰ぎ見る。


「王子、後はこのシュカめにお任せを。
さぁ、行かれませ。」


「悪い!!!」


キャスパトレイユは、身をひるがえした。
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