天使の舞―後編―
「乃莉子。
今度はそっちの、淡いクリーム色のドレス着てみろよ。」


「え~・・・これ?
あんまり好みじゃないよ。」


「ダメ。それ着て。
そん次は、このレースのやつな。」


「まだ着るの?」


「当然!乃莉子はどれ着ても、似合っちゃうからさ。
選ぶの大変なんだよ。
く~・・・参ったな・・・。
決まんねぇ・・・。」


「キャスが着る訳じゃないのに。」


大量に吊り下げられたウエディングドレスを、王子自らが吟味して選び、乃莉子を着せ替え人形にして楽しんでいるキャスパトレイユに、乃莉子は少し不満気だ。


乃莉子に翼が降りた今、一刻も早く挙式をして、その羽ばたきを天界の皆に降り注がねばならないのに。


キャスパトレイユの厳しいダメ出しのお陰で、一向に準備が整わずにいるのである。
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