天使の舞―後編―
乃莉子は、不安げにキャスパトレイユを見上げると、視線で何かを合図した。


キャスパトレイユの方も、分かったと言わんばかりに、頷いて見せる。


「父さん・・・いや、天王様。
この婚礼が無事終了し、新天王そして新覇王になる私と新王妃から、ちょっとした余興を贈りたいと思い、用意させてもらいました。
この場で披露しても、よろしいですか?」


「何、余興とな?
おもしろい・・・なんだ?」


「はい。では、呼びます。」


「呼ぶ?」


怪訝な顔をしたウェルザには構わずに、キャスパトレイユは高々と右手を挙げて、叫んだ。


「アマネ!」


「ア・・・アマネだと?」


びっくりしたウェルザは、目を丸くして聞き返す。


ニヤッと不敵に笑ったキャスパトレイユは、乃莉子の肩に手を回すと、ウェルザに自信満々に宣言した。

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